エルボスコ(長野・信濃町)



 野尻湖の湖畔に佇むリゾートホテル。観光地化されておらず、非常に静かで落ち着いた雰囲気のある野尻湖という場所にふさわしい、落ち着いた大人の宿。



 野尻湖は、東京方面から距離があることもあり、人も少なく非常に落ち着いた雰囲気の湖です。湖自体も木々に覆われており、湖の周囲も深い森が大半で、その中に別荘が点在しています。この野野尻湖は、元々軽井沢がメジャーになり、人が増えてきた事を嫌った外国人宣教師達が静かな環境を求めてやってきた経緯もあり、現在でも外国人村が湖畔にあったりと、非常に雰囲気の良いエリアです。

 周辺には、パワースポットとして有名な戸隠神社や善光寺、小布施や白馬、サンクゼールワイナリー等、観光スポットも充実しており、北陸新幹線の開業で東京からのアクセスも格段に良くなる等、立地的にも非常に可能性のあるエリアだと思います。


 このホテルは、木々の中に隠れるように建っており、周囲の環境に溶け込んでいます。この宿を建築したのは、日本を代表する建築家の一人である清家清氏であり、周辺環境との調和を考えて立てられたことが分かります。エントランスは3Fにあり、2Fがダイニング、1Fが客室というこの宿、湖畔の法面にへばりつくように建っており、周囲の木々に溶け込んでおり、湖側からでも宿の全容を見る事は難しいほどです。

 この宿は元野尻湖プリンスホテルであり、コクドの再編で各地のプリンスホテルが売却された際に、この宿も売却されたものです、従って、建築は清家清、インテリアは渡辺力というコクド黄金期のゴールデンコンビによる建築であり、軽井沢プリンスとの共通項を端々から見る事が出来ます。

 売却後は各地の旅館再生事業を手掛けている、アゴーラホスピタリティーズに買収され、現在はアゴーラホスピタリティーズの元で運営されています。一時期はメインダイニグにAWキッチンを入れる等、なかなか面白い取り組みをされています。

 なお、プリンス時代にこの宿は堤義明氏が唯一プライベートで自費で訪れる宿だったそうです。そして、ホテル自体完全に採算度外視で、自分の別荘、迎賓館的な使い方をしていたそうで、確かに建物の雰囲気や重厚感がすごく、コストがかかっていることが伺えます。



ホテル正面。




非常に重厚な作りです。







暖炉用の薪が雰囲気を出しています。

(このホテルは冬期閉鎖します)




下に見えるのが客室棟。このように斜面に沿って建っています




ロビー。天井は非常に高く、正面は全面ガラス張りで野尻湖と木々が

一望できる非常に開放感のある空間です。










チェックインはこちらの椅子で行います。




木々の間から野尻湖と客室棟が見えます。




吹き抜けの下はレストラン




「読書をするホテル」というコンセプトのもと、ライブラリーには

本が置いてあり、部屋へ持って行って読む事ができます。







ダイニング。




天井が高く、全面ガラス張りで非常に開放感があります。




Bar。いつ行っても貸し切りです。

プリンス時代は和食ダイニングだったそうです。

渡辺力やコルビジェの椅子、暖炉、壁はタイル張りという

贅沢な空間を独り占めできるのはただただ贅沢です。




フード類も充実しています。




ロビーから客室棟へと繋がる通路。斜面を下るため揺るやかな

下り勾配になっています。そこを抜けると・・・




リキチェアーが置かれたピクチャーウインドウ。

この湖の見え方等も全て計算された設計なのでしょう。







客室は北ウイングと南ウイングに分かれています。

リニューアル済みの客室とオリジナルのままの客室の2種類あります。




客室はメゾネットタイプと一部屋のタイプの2種類。

隣の客室と上下と交差している感じのため、この部屋は入ってすぐ

上階にあがった所がリビングでした。

隣の部屋は入ってすぐ下階に下った所がリビングになっており、隣同士で

上下でクロスしているイメージ。




こちらはリニューアルしていないオリジナルタイプのメゾネットタイプ客室




部屋からは木々と野尻湖が見えます。

ヒグラシの鳴き声だけが聞こえる非常に静かな空間・・・




部屋には渡辺力の名作、リキロッカーが







木々の間から湖面が見えます




部屋の奥にはさらに上に上がる階段が



あがってすぐ左手が洗面所とトイレ、バス。

さらにあがった突き当たりがベッドルームです




洗面所




アメニティはオリジナルのもの




ユニットバス。作りは重厚ですが、やや経年劣化を感じます。

それが嫌な方はリニューアル客室の方が良いかもしれません。

ちなみに温泉ではありませんが、車で10分ほどの妙高温泉に

宿から送迎バスが出ており、温泉につかることも可能です。




ベッドルーム










共用部にはダイヤモンドチェアが




こちらも共用部







夕食は洋食のコースです。

メインが肉と魚の両方ついたコースとどちらか一つを選択する

コースの2種類から選べます。



最初に出てくる野菜が本当に美味しい。

全て生野菜ですが野菜の味がものすごいします。

塩やアンチョビベースのソース等3種類と一緒に

供されます。










スープはトウモロコシか南瓜のポタージュであることが多いです。

ものすごい甘みと旨味。地の物は本当に美味しいです。














ちなみに連泊すると、二日目は寿司懐石に変更することも

可能です。
















この空間で和食を食べるのも不思議な感覚ですが

日本海が近い事もあり、美味しかったです。




なお、朝食はバイキングですが、メニューの種類がとても

多く、非常に満足度が高いです。

そして、朝からこの開放的なダイニングで、木々と湖を

見ながら食べることが出来るのは、本当に贅沢です。


なお、2015年からエグゼクティブシェフが変わったので

料理の内容がどのように進化するのかも楽しみです。



我が家は毎年夏に利用させていただいていますが、全く

飽きる事もなく、この立地と雰囲気の満足感は何度行っても

素晴らしいの一言。

この雰囲気を壊さず、いつまでもこのままであり続けてほしい、

心から切に願う宿の1軒です。





エルボスコ(長野・信濃町)



長野県上水内郡信濃町大字古海4847

Tel:026-258-2111

1泊2食(2名利用時) @¥19000〜

朝食のみ:@14500〜

in 15:00〜/out 〜11:00)


エルボスコ http://www.nojirikohotel-elbosco.com