御宿かわせみ(福島・飯坂温泉)



飯坂温泉にある宿。その料理の豪華さと美味しさが有名な、東北を代表する名宿の1つ。たたずまいにホスピタリティ、調度品から庭園に至るまで、一流で落ち着いている、これぞ大人の宿という1軒。



 福島の飯坂温泉にある宿。福島を代表する温泉地と言えば、ここ飯坂温泉と磐梯熱海、東山等が有名だが、どこも大箱の観光旅館が衰退し、町中の景色もかなり寂しいものになっている中で、飯坂温泉の外れにあるこの宿は、その料理の美味しさから、全国に名声を轟かせています。




宿は住宅街の中に突如その姿を現します。

この手前に駐車場がありますが、車でそのまま車寄せまで乗り入れてかまいません。




玄関。といっても、ここからかなり奥行きがあり、この建物は

本当に玄関だけです。




5月だったため、玄関を入るとすぐに兜飾りが。




玄関からこの長い廊下を進むと、ようやくフロントとロビーがあります。




途中には休憩スペースも




ロビー。こちらでチェックイン手続きをします。

重厚感と高級感がありながら、この開放感と適度にピンとした空気。

どんなに立派な建物でも、この雰囲気を出せる宿って、過去に数軒しか巡り会えていません。

この空気感、大好きです。




一面のピクチャーウインドウからは中庭と池が。

池には鯉はもちろん、家鴨や鴨もいます。




壁面には大きな絵が。




お付きのお菓子は、抹茶とままどおる。さすが福島。

この抹茶も非常に美味しく、この瞬間料理への期待が確信に変わりました。




今回利用した部屋は「小萩」。部屋露天付の特室です。

この宿は、露天風呂付の部屋が4グレードあり、全て1階に配置されています。

その他、2階の部屋は最も安いグレードで、露天風呂はなく、桧の内風呂がついている部屋になるようです。




玄関




和室。十分な広さです。




縁側




副室




副室から各部屋の関係性を見ると、手前から副室、主室、縁側となっています




浴衣




縁側の外にはちょっとしたウッドデッキがあります。




デッキにはこのようなチェアーが配され、風呂上がりの夕涼みに格好です。

ちょっとしたサイドテーブルがあるとベターでした。








デッキの反対側は部屋露天風呂に繋がっています。




こちらは足湯スペースとなっており、ウッドデッキに腰掛けて、部屋露天風呂をそのまま

足湯としても利用できます。




水回り




アメニティも基本的な物は十分に完備




洗面所の先は、桧の内風呂、さらにその奥が部屋露天風呂となっています。




部屋用のタオルも十分な枚数完備。しかも、非常に厚みがあり、良いタオルを使っています。




アメニティはジョンマスターズ。




PS社のタオルウォーマーも完備。いつでも乾いたタオルが使えるだけでなく、暖房効果もあります。




内風呂は桧風呂。ただし、温泉ではありません。




部屋の露天風呂。広さも開放感も十分です。

そして、泉質が非常に良く、肌がすべすべに・・・




露天風呂からの景観。中庭の緑を愛でながら湯浴みできます。




トイレ。照明、蓋の開閉、洗浄まで自動です




冷蔵庫内の飲み物は有料。アイスとグラスが冷やされていました。




お茶類やミネラルウォーター等は無料。

非常に美味しいお茶を使っているのがわかります。




大浴場




大浴場の水回り




タオルもこの量完備されています。







手前が内湯。その奥が露天風呂。

この宿は2階の客室以外は全て部屋露天がついているので、全12室というキャパを考慮しても、この広さがあれば十分すぎるでしょう。




外には露天風呂が。




洗い場




さらに外にはかまくらのようなものが。

これは低温サウナで、1時間程度入っていられるサウナです。




ウォーターサーバーも脱衣所に完備。




大浴場のすぐ先には、ラウンジが。




雑誌も国内、海外のものが複数ありました




オレンジジュースと冷たいお茶のサービスが。




調度品もこの部屋だけ方向性が異なり、面白いです。




調度品から食器、欄間まで至る所で見つけた宿のマーク




いよいよお待ちかねの夕食です。

夕食、朝食ともに部屋だしです。

右側のものは食前酒の生酒。生酒というのも珍しいです。




桜海老と焼茄子の胡麻餡。

焼き目の入った茄子の香ばしいこと。

そして、桜海老の食感と甘みが絶妙。先付けでここまでテンションあがる料理は珍しいです。




生ビールはアサヒの特撰。グラスは非常に薄く、キンキンに冷えており美味。




パプリカ生雲丹パフェ。

非常に濃厚な雲丹とパプリカの擦り流しに、キャビアのアクセントが絶妙のバランス。



雲丹逢菜芽椀。

アイナメの食感と味が抜群に美味い。




菖蒲咲く頃の盛り合わせ。

おおきな器の蓋がこちら。

手前から時計回りに白海老海苔カナッペ、空豆塩茹、稚鮎唐揚




その蓋を開けると・・・




香味初鰹




さざえ海苔ジェリー寄せ




わらび山葵漬け




フォアグラムースと若桃



本鮪の造り(写真撮り忘れ)


ふかひれ八丁味噌焼き。

左側のが大きなフカヒレ。しかもきめが細かく大味ではない。

その上に薬味と八丁味噌、右側が烏骨鶏の卵を揚げたもの。

しかもこれを固形燃料ではなく備長炭で熱しています。




かわいい器の中身は・・・




お口直しのニューサマーオレンジ




甘鯛とフルーツトマトの揚げ出し。

柚子胡椒おろしと一緒にいただくと、出汁の旨味と柚子胡椒の辛み、

そしてフルーツトマトの甘みが一体となり絶妙な調和を見せます。




仙台牛のたたき




ご飯




止め椀




香の物も抜かりがありません




デザートはブラマンジェ。なんと上にのっているのはバルサミコ酢。

これは意外に合う!




枇杷のコンポート




夜食には梅と塩のおにぎりが・・・





続いては朝食




前日にいくつかの選択肢から選択したミネラルウォーターが




牛の朴葉味噌




こちらも備長炭が用いられています




出しまき




サラダ。ちりめん黒胡椒がかかっており美味







もずく酢




こちらの木箱には・・・




海苔。しかもなんと備長炭で温められています。

木箱の下部分は備長炭が入っています。




太刀魚。

この厚みといい、塩加減、焼き加減(レア)、骨抜きされていることなど

今まで食べた太刀魚でダントツに最も美味しかったです。




お味噌汁はしじみ




食後にはデザートが。

通常メニューのぜんざい。




自分は事前に餡子が不可と伝えてあったため、なんと焼き芋のブリュレ。美味!




ピンクグレープフルーツの和三盆がけ。美味。




コーヒー






 食事は文句なく美味しかったです。ただし、地産地消ではなく、全国の旬の豪華食材をこれでもかと集めて、用いているので、地産地消や地の物にこだわりたい方には向かないかもしれません。

 また、味付けはかなり強め(濃い)です。どちらかと言うと、酒飲みには最高の食事ではありますが、お酒を飲まない方、正統派の懐石を求める方には、また合わないかもしれません。


 冒頭にも書きましたが、空気感が絶妙なんですよね。ピンと張りつめているものの、ただお高く止まっているわけではなく、そこに暖かみと適度ののんびりさもあって・・・。計算してのことかは分かりませんが、非常に絶妙で居心地が良かったです。また、他のお客さんも落ち着いた人が多く、パブリックもほとんどなく基本的には部屋で過ごす宿ですので、静かでのんびりできて、自分個人的には非常に満足のいくものでした。

 好みの問題でしょうが、イベントやらパブリック(ライブラリーやらサロンやら、はたまたドリンクサービスやら)やらをやたら重視している宿って、落ち着かないんですよね。人の往来もそうだし、元とろう的な人が張り切りすぎていたり・・・。そういう意味では、この宿は自分の指向性に見事にマッチしました。

 先に書いた空気感って、結構些細な事の積み重ねなのかもしれません。清掃がとても行き届いていたり、宿側の人が出過ぎず引っ込みすぎずだったり・・・些細なことかもしれませんが、非常に難しいことなんですけどね、この辺って。そして、そうした空気感を形成するファクターの一つは、じつはお客さんの質なのかもしれません。その意味で、この宿は好循環になっているのかも・・・。






 

御宿かわせみ(福島・飯坂温泉)



福島県福島市飯坂温泉翡翠の里2-14

TEL:024-543-1111


in 15:00~/out ~11:00

1泊(2名)@38100円〜(今回利用した「小萩」は@55000)


御宿かわせみ http://www.hisuinosato.com