坐漁荘(静岡・浮山温泉)



 静岡は伊豆高原にある旅館。純和風の造りで、最近流行のスタイリッシュなそれとは一線を画していますが、格式高い荘厳な雰囲気が魅力的な宿です。


 


 まずは宿に着くと、抹茶と和菓子(この辺りの特産山桃を使った菓子。見た目も山桃そっくりだが、中身は餡子)を戴き、続いて記念撮影。撮った写真はチェックアウト時に貰えるとの事。椅子に座ったまま、庭を流れる滝をバックに撮影していただきます。


 そして、いざ部屋へ。今回利用した部屋は、部屋露天付き角部屋の「山桃」(「昼迄ゆっくり軽食付プラン」@42000円)。部屋に着くと、またお茶と甘味(手作りのお汁粉)が出される。案内係の人は一通り説明をすると、退出。その後、部屋付の仲居さんが別途やってくるとの事だったので待っていたが、結局、係りの仲居さんがやって来たのは何と2時間後!その間、仲居さんが来るまで部屋を留守にする訳にもいかず、かといって部屋風呂に入る訳にもいかず・・・。仲居さんは、またしてもお茶菓子を持ってきた。今度は漬物もあるので、甘いのが苦手な自分でも美味しく戴けた。しかしチェックインから既に3回目のお菓子。これは初めてです。


 部屋風呂はというと、内風呂は檜の浴槽で、深さもあって肩までたっぷりと浸かれる。また、ヘッドレストが付いており、これが実にいい塩梅だった。ただ、露天風呂は×。いかにも後からとってつけました的な甕風呂(でも大きさは結構余裕がある)、風呂の周りは目隠しの柵に囲まれており、景観も何もなし。折角の庭の眺望も、これじゃ全く楽しめません。そして、なんと部屋露天は使用できる時間が決められており(朝6時~夜10時)、それ以外の時間には使用できない・・・また、お湯も自分で張らなければならいのだが、蛇口を捻ってからお湯が出てくるまでに、5分近くかかる・・・これには閉口。

 風呂から上がると、夕食の時間に。朝食・夕食ともに部屋出し。料理自体は非常に手間隙かけており、見た目も楽しい。一品一品の量はさほど多くも無く、味付けや内容もそれほどヘビーではないので、いい感じで満腹に。

 また、朝食はオーソドックスな和食なのだが、夕食の残りの伊勢海老を用いた味噌汁や自家製の塩辛など、とても美味しかった。夕食・朝食共にいえることだが、デザートが非常に美味しかった。個人的に、あまり旅館のデザートで「美味しい」と感じた事がないので、これはとても嬉しかった。


 今回は軽食付きプランだったが、夕食でお腹が一杯になるだろうと思い、夜食での利用はやめて翌日の昼食に利用した。うどん、蕎麦、サンドイッチ等のメニューから一品と、コーヒー、紅茶等の飲み物から一品選ぶのだが、自分はサンドイッチにコーヒーを選択。部屋に持ってきて貰う事も可能と事前に言われていた筈だが、何故か強制的にロビー横の食事処に行かされることに・・・。で、サンドイッチが予想以上に美味しかった。非常に具沢山(シャキシャキの野菜や蟹等)で、黒胡椒が効いており、朝食から僅か2時間後にも関わらず、あっという間に平らげてしまった。相方はうどんをオーダーしたが、こちらも非常にこしがあって美味しかった(何でも群馬の水澤屋から取り寄せた非常にこしのある麺で、茹であがるのに20分近くかかるらしい)。しかし、この軽食メニューを夜食にするか翌日の昼食にするかの選択をチェックイン時に決めなければならないのはどうかと思う。その日の夕食の量次第で決めたいという人は多いんじゃないかなーと。もうちょっと融通の利いた対応をして欲しいものです。


 建物や庭など、施設は非常に立派で、雰囲気が出ている旅館ではあった。そして、さすがに料理はとても美味しく、手がかかっていることも伺えた。が、価格帯を考えると、もう少し全体的に

頑張ってほしいと感じる点もありました。比較するのも何ですが、同一価格帯の他の宿と比して、ホスピタリティの面でもう少し改善の余地があるのかなとは感じた(利用者目線がやや足りないと感じました)。

 

 あとは、この宿自体のあくなき商魂が端々に出ていたのが残念。予約を入れた時から「TV番組○○で紹介されました」とかパンフレットと一緒にご丁寧に教えてくれたり、貸切風呂やDVDプレーヤー貸し出し3500円だったり・・・。わざわざ「紹介されました」的なこと言われなくても、十分魅力的な宿だし、そうした評価を得ている宿なんだから・・・とは感じました。


 部屋露天の小ささと時間制限制にはがっかりだったが、共用風呂の充実度は。部屋も全面一枚ガラスの開放感やパウダールーム、アメニティの充実度等、見所も沢山あります、この宿。もう少し値段が抑えられていれば、かなりいい宿です。雰囲気、施設、食事内容からしても、全体的に年配の方の方が楽しめる宿かも。


 14時イン、翌日12時アウトという長時間滞在であったにも関わらず、あっという間に時間が過ぎてしまった。チェックアウトする時には、これからチェックインする客とすれ違いつつ、そんなことを思いながら、後ろ髪ひかれる思いで帰宅の途についたのでした。



 さて、肝心の食事はというと・・・まずは夕食から。


食前酒:やまもも酒

フルーティで美味。食欲が増します。


先付:銀杏養老豆腐 キャビア・フカヒレ載せ



前菜:子持昆布 別甲玉子松葉刺し 鯛寿司 烏賊このわた和え

   木の芽 白魚ゆかり巻き スッポン煮凍り

別甲玉子と白魚ゆかり巻きが◎



椀物:蓬麩進丈釜 芽蕪 京人参 柚子



造り:季節の魚 外 地の造り盛合せ



適度に脂ののったトロ。こいつは絶品!






中皿:牛ロース和牛ステーキ タラバガニライスペーパー揚げ 野菜彩々



蓋物:新筍 独活 生鱈子 手作り麩 菜の花



鍋物:矢柄鍋 白菜 長葱 平茸 セリ



進鉢:子持鮎 小茄子茶巾 かんぴょう 花丸

小茄子茶巾の食感と濃厚な味付けは絶妙



留鉢:茶ぶり生子 大和芋 針柚 山葵 二杯酢



飯器:春菜御飯 蕨 新筍 菜の花



汁物:赤出汁 なめこ 根芋



香物:五種盛



水菓子:梅ムース メロン 苺 パパイヤ キラキラゼリー

セルフィーユ 林檎シャーベット

梅ムースは食感が良く、さっぱりしておりデザートに最高。

林檎シャーベットも林檎の持ち味を存分に引き出した、さっぱりしたシャーベットで◎。




続いて朝食はと言うと・・・


手作り豆腐 手作り塩辛 海苔佃煮 シラスおろし だし巻き玉子

鮪刺身 おひたし 煮物 鯵の干物 サラダ(オリーブドレッシング) 漬物 伊勢海老の味噌汁



塩辛・海苔佃煮・鮪刺身・シラスおろし。特に手作り塩辛はとても美味しかった。



絶妙な食感のだし巻き玉子。やや甘すぎるので、おろしに醤油をかけて一緒に食すと、非常に良いバランスになる



デザートのコーヒーゼリーは程よい苦味があり、非常に美味しかった



建物外観



ロビー





露天付きの部屋「山桃」。次の間には掘り炬燵もある





パウダールーム



全面ガラス張りの次の間



風呂全景



内風呂



部屋露天風呂



部屋からは直接庭へ出れる










坐漁荘



静岡県伊東市八幡野1741

TEL:0557-53-1170


in 14:00~/out ~11:00

1泊(2名) @26250円~


坐漁荘 http://www.zagyosoh.com/