二本の葦束(大分・湯布院温泉)
 日本を代表する温泉地、大分県は湯布院温泉にある宿。広大な敷地に移築した各棟は、全て異なる趣を持った全室離れの宿。素材を活かした滋味豊かな料理を供する宿として、依然高い人気を誇ります。

 

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二本の葦束(宿編)
  大分県は湯布院にある旅館。湯布院と言えば、いわゆる御三家(玉の湯、山荘無量塔、亀の井別荘)が有名だが、中々どうして、こちらの二本の葦束も頑張っています。

 湯布院ICから車で5分足らずで宿に着きます。湯布院の繁華街からはやや離れているため、非常に静かで木々に囲まれた立地であることに加え、敷地自体も広大であるため、一歩敷地内に入ってしまうと、外界からは完全に遮断されたかのような趣があります。移築した古民家の数々や歩道に配される椅子や小物に至るまで雰囲気作りに徹底しており、ちょっとしたテーマパークのような感覚とでも言えばいいのでしょうか。
 
 さて、車を宿の正門に近づけると、お迎えの従業員の方がぞろぞろとお出迎えしてくれます。荷物を預け、レセプトカウンターのある母屋へと通されます。
 この母屋も古民家を移築したのでしょうか?高い天井、太い梁、照明、家具・調度品、音響機材に至るまで、一つ一つの物によって、この宿が持つクラシカルなイメージを醸成しています。
 なお、この母屋の2階にはお土産コーナーと喫茶スペースがあり、セルフサービスではありますが、自由にジュースやコーヒー等をいただけます。

 チェックインを済ませると、本日利用する「戸田邸」へと通されます。この宿は、全部屋が離れの戸建てになっており、古民家を移築したため、それぞれが全く違う趣となっています。大正クラシカルあり西洋あり中国あり・・・といった具合ですが、今回自分が利用したこの戸田亭は、大正ロマン的な趣とでもいったらよいのでしょうか。
 期待に胸を膨らませて扉を開けると、まず、玄関の広さに驚きます。うちのおばあちゃんの家の玄関を思い出してしまいました。玄関を入ると、左手がリビング、右手がトイレと洗面所、正面が6畳ほどの和室となっています。二人で泊まるにはこれだけでも十分広すぎるというのに、2階には更に、シングルベッドが2つ並ぶ洋間と、8畳程の和室があります。1階の和室には布団が用意されているので、布団とベッドの両方を選択できるようになっています。
 なお、1階リビングの奥には2畳程の茶室やトランクルーム、カウンターの付いたキッチンや書斎も付いています。もうこうなってくると、貧乏性の自分は落ち着かないことこの上ありません(笑)。どこに居ればいいのやら・・・といった感じでした。
 また、部屋の冷蔵庫には缶ビールが数本用意されていますが、それ以外の飲み物はありません。
 
 この宿の特徴の一つとして、貸切風呂の多さがあげられるでしょう。それ故、部屋にはお風呂が付いていないのですが、全棟数9に対して貸切風呂が8程ありますので、全く問題ないでしょう。特に特筆すべきなのが、大露天風呂でしょうか。びっくりするくらい広大な露天風呂(普通の旅館で言う所の共用風呂並の大きさと言えば分かるでしょうか)が、こちらもなんと貸切なのです。しかも、どの風呂も予約不要・時間制限無しなので、思う存分気兼ねすることなく満喫できます。
 ただ、予約不要のデメリットとして、実際に風呂まで行ってみないと空き状況が分からないということもあります。敷地内は結構な高低差がありますので、わざわざ風呂目指して階段を登り、未舗装の足場の良くない道を歩いて来たはいいが、いざ風呂に着いたら他の人が使用中だったなんてことも十分考えられます(自分の時は幸運にも他の方とバッティングしませんでしたが)。特に、高齢者にはちときついかもしれません。

 さてさて、それではと早速噂の大露天風呂を利用してみようではないかと言う事で一路露天風呂を目指し、部屋を出発しました。目抜き通りには今夜の食事処やBar、他の棟が道を挟むように並んでいます。道では、作務衣を着た従業員の方が打ち水をしており、残暑厳しい湯布院の夕暮れに風情と清涼感を与えてくれます。沿道には、いたるところに休憩スペース(簡単なベンチ)があり、道端では温泉卵とジュースを自由に飲食出来るスペースもあります。
 そういや、何故か従業員の方が若い男性(それも中々のイケメン揃い)ばかりで、女性の方は殆どみかけませんでした。オーナー(女性)の趣味なんでしょうか?
 階段を登りきり、更に勾配のある砂利道を歩いていくと、右手に大露天風呂が見えてきました。幸い先客は居ないようなので、ちょっと手前にある立て看板を「入浴中」に裏返し、脱衣場へと入ります。
 脱衣場の造りが、左右対称(鏡台や休憩用の椅子の配置等)であることや、仕切りと思しきものの名残があることから、この大露天風呂は恐らく以前は共用風呂だったのかもしれません。
 お風呂を見て呆然・・・いやいや、これを貸切で利用するなんて、なんて贅沢な・・・という程の広大さ。湯温も適温、泉質も良く、風呂自体が高台に位置するため眺望も中々のものです。更には、打たせ湯まであります。
 ただ、風呂までのアクセスに使う歩道がすぐ脇を通っており、目隠しの役割を果たすであろう竹柵だけでは、見えやしないか些か不安ではあります。まあ、覗くような悪趣味な人はいないでしょうけど、竹柵だけに所どころ隙間が開いているんです・・・。些細なことですが、ちょっと気になりました。

 風呂を堪能し、部屋に戻るとすぐに夕食の時間になりました。内容については「食事編」にて述べますが、この宿らしいなーと感じたのが、この価格帯の宿では珍しく、大広間で他の宿泊客と共にテーブルを並べて食事を食べるスタイルなのです。良し悪しは色々考えがありましょうが、ちょっと面白かったです。まあ、喫煙家の自分には、美味しい焼酎が目の前にあるのにタバコを吸えないっていうのは、結構キツいのではありますが・・・。

 食事を終えると、Bar「ぶぶ散人居」(現在は「バローロ」という名前に変わっています)へと向かいました。上述しましたが、このBarも別棟で敷地内に建っています。店内はカウンター数席とテーブル1〜2組という、非常にこじんまりしたBar。2人で行ったのですが、カウンターは一人客が丁度1席おきに座っている状態で、2人では利用できません。Barでテーブル席ってのも・・・と思いつつもこの状況では仕方が無いか、とテーブルに行こうとすると、作務衣姿の中年の方一人が、席を詰めて2席空く状態にしてくれたのでした。こういう何気ないやり取りがBarというどちらかと言うとドライな空間で出来るのも、旅館のBarならではの醍醐味ではないでしょうか?
 さて、大好きなアイラをちびちびやっていると、自分達が入った入り口と反対側から夫婦がやってきました。どうやら、宿泊客ではない外来客用の入り口が、別のところにあるようです。何でもその夫婦いわく、湯布院のほかの宿に泊まっているのだが、どうしてもこの宿のBarを利用してみたくて、わざわざ来たのだそうです。
 このBar、お酒の品揃えはかなりのものでした。正直、旅館のBarなんておまけのようなものだと経験則で感じていたので、過剰な期待はしていないのですが、このBarには良い意味で裏切られました。品揃えという点では、特に地下にセラーを持っており、ワインは常時250種ほど常備しているそうです。髭のマスターも、お酒の知識もかなりのもので、また、一見するととっつきにくいのですが、福岡で美味しいもつ鍋屋を探している旨伝えると、福岡出身の従業員の方に内線で連絡を取り、インターネットからお店の地図をプリントアウトして持って来てくれるなど、非常にアットホームな雰囲気で、今までの自分が抱いていたBarに対する知識とは、まったく違った時間を過ごすことができました。


 湯布院御三家ほどではありませんが、それなりに値段のする宿です。それでいて、野菜中心の料理、しかもさほど凝ったものでもありません(手は込んでいますが)。部屋にお風呂も付いていません。部屋の使い勝手もあまり良くありません。洗面所や和室等は天井が低く、何度も頭をぶつけました。
 それなのに、言い知れない満足感を胸に感じながらチェックアウトしたのも事実です。古民家という特性上、ある程度の不便が生じるのは仕方がないでしょうし、それ以上にそれがもたらす恩恵(雰囲気作り、広さ、非日常感といったテーマパーク的要素)の方が大きかったってことなのかもしれません。
 気取っているのに普段着の宿、姿が見えなくなるまで延々と続く見送りの女将さんのオーバーアクションと空高く届きそうな位の掛け声を背中に受けながら、そんなことを感じつつ宿を後にしたのでした。


レセプトカウンター


母屋のロビーも雰囲気が出ています








高価そうな音響機器


2階ではコーヒー等が自由にいただけます










奥ではお土産も販売しています


今回利用した「戸田邸」の玄関


とにかく広いです。正面の木戸の奥が和室になります


リビング


カウンターキッチンも完備です


水周り


お着きのお茶菓子が置いてありました


冷蔵庫にはスーパードライが数本




部屋の割にはTVは小さめでしょうか・・・


ちょっとしたテラスもあります


1階和室


茶室入り口


茶室室内


リビング奥は書斎的な空間になっています


洗面所のタイルや窓も趣があります。天井が低いので注意


アメニティも一通り揃っています


トイレはウォシュレットです


2階ベッドルーム


2階和室。厳密には屋根裏にあたるため、天井が低いです。


リビングにはミニコンポが備わっています


大露天風呂へのアプローチ


途中には休憩所もあります。高低差があるため、見晴らしも中々。


途中にある看板。風呂を利用する際は、これを裏返すことで「入浴中」
にしておきます。


大露天風呂の脱衣場。左右対称の造りであることから、以前は男女別に
なっていたのでしょうか?


大露天風呂。とにかく「広い」の一言です。


こちらは「竹林風呂」


その名の通り、竹林に囲まれています


「竹林風呂」「大露天風呂」以外にも様々な貸切風呂があります。








歩道脇では、温泉卵と缶ジュースをいただけます。


Bar「ぶぶ散人居」。当日は雑誌の取材が来ていました。
※現在は「バローロ」という名前に変わっています


 
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