小樽旅亭 蔵群(北海道・朝里川温泉)

 北海道の小樽にある旅館。いわゆるデザイナーズ旅館のハシリ的な宿で、年中均一料金・館内飲み物オールインクルーシブ等、非常に先進的な取り組みをしてきた宿です。



 

 北海道は小樽市街に位置する朝里川温泉にある宿。メゾネットタイプの部屋等が計19室の小規模旅館ですが、その洗練されたモダンな佇まいで開業以来注目を浴びてきた、デザイナーズ旅館の先駆け的な宿です。

 朝里川温泉は小樽市街からのアクセスは良いものの、数軒のホテルや旅館が点在して立っており、またそれらが普通の住宅地の中にあるといった感じで、温泉地としてお世辞にも「風情ある」とは言えません。この蔵群自体も裏手には朝里川が流れているものの、住宅地の中にぼつりと佇むといった感じでしょうか。
 建物は名前の通り「蔵」が連立している感じ。ここを設計したナカヤマ・アーキテクツといえば、同じ北海道の三余庵の設計を担当した設計事務所として有名ですが、こちらの宿も北海道という旅館不毛地帯にあって評判が高いです。北海道では蔵群と三余庵は、何かにつけてよく比較されることが多いのもそのためかも知れません。
 
 話を蔵群に戻しますが、非常にコンセプトが明快で、とにかく「モダン」「シンプル」という言葉がぴったり来る宿ではあります。が、それ故、使い勝手や居住性等にやや難ありと感じる部分もありました。個人的には、「癒し」や「落ち着き」というものはあまり感じることが出来なかったのも、正直な所ではあります。ただ、そうした部分よりもまずはこれだけこだわりを持ってコンセプトの追求に傾倒したというのは、ある意味非常に潔いとも思います。

 料理は土地柄もあって、特に魚介類が美味しかったです。盛り付けや調理法・組み合わせ等も中々前衛的で、この辺も宿のコンセプトと通じるものがあります。系統としては、創作和食とでも言えば良いのでしょうか・・・ただ、中華っぽい一品もいくつかありました。どれも中々美味しいのですが、正直「これ」っていうのが無く、あまり印象に残らない品々でした。。一番印象に残っているのは、白飯(きらら397)でしょうか・・・。あれは非常に美味しかったです。それだけははっきりと印象に残っています。

 オールインクルーシヴを採用しており、館内の飲み物(バーを含む)は全て飲み放題。それだけにドリンクメニューの品揃えは期待していなかったのですが、中々どうして焼酎は結構美味しい銘柄がそろっていました。まあ、ワインや日本酒の品揃えがやや貧弱なのは仕方がない所でしょうか・・・。

 パブリックスペースの調度品も、こだわって選ばれているなーと感じました。特に、ロビーにはこれでもかとカッシーナのLC2が鎮座していました。いまさらカッシーナもないかも知れないですけど、ここの宿の雰囲気・ハードにはピッタリはまっており、これはこれでアリだと思います。
 また、冒頭でも述べましたが、風呂と景観には期待しない方が良いです。あくまでも「ハードを楽しみに行く宿」っていうスタンスで利用した方がいいかもしれません。

 温泉旅館不毛の地である北海道では依然注目の集まる一軒であることは間違いないありません。ただ、いくら年中均一料金やオールインクルーシヴであることを考慮に入れても、コストパフォーマンスはお世辞にも高いとはいえないのかなーと感じました。例えばこの料金で伊豆やら九州といった激戦区の宿に泊まろうとすると、それなりの宿に泊まることが出来ますから。

 ただ、通年均一料金での設定やオールインクルーシヴ等、既存の温泉宿の習慣行を打破しようとの気概は非常によく伝わってきます。そして、事前の各種相談などに対するレスポンスの早さと誠実さも◎。

 非日常的な空間で、デザイナーズチェアに腰掛け、地の食材に舌鼓を打ちながら温泉に浸かる・・・このスタイルの宿はここ数年でどんどん増えてきており、これが宿滞在の今後の新しいスタンダードな過ごし方になる日も、そう遠くないのかもしれません。

■宿泊日の献立■
・食前酒:余市産林檎酒
・酒友:引き揚げ湯葉蟹内子かけ
・先付:平目柚胡椒キャビア添え
・前菜:冬瓜つや煮 北海縞海老 青梅蜜煮 鰊切り込み 長茄子田楽
・冷小鉢:落葉木の子蕗煮しめ
・焼八寸:炭火網焼 鱈場蟹 北寄貝 地鶏ささみ 長葱 ズッキーニ ししとう
・刺身:本鮪中トロ平造り 蝦夷バイ貝
・蒸物:小樽産雲丹磯蒸し柚銀餡
・洋皿:十勝産和牛ヒレロースト韓国風
・強肴:ほうれん草大根煮びたし 蟹オイスターソース
・中皿:吉次アラバプール香草トマトソース
・口変り:じゅん菜土佐酢
・鉢盛り:鰊田舎煮梅風味 絹さや 椎茸
・止椀:吉次白味噌仕立柚風味
・香物:五点盛
・御飯:蘭越町梅田健一さんのほしのゆめ
・水菓子:メロン

外観はまさに「蔵」といった面持ち。 部屋はメゾネットタイプになっており、風呂とベッドルームは2Fとなります。
調度品はアンティークなものとモダンなものが混在。 部屋の前にはちょっとした庭とその向こうには朝里川が流れます。
リビング横には和室もあります。 洗面所もシンプルモダン。
部屋風呂は2Fに位置するため、眺望も良い。 ベッドルームも2Fに。十分な大きさのツインベッド。
食事は個室の食事処で。 ほうれん草大根煮びたし 蟹オイスターソース。
吉次アラバプール香草トマトソース。 ラウンジではコーヒー等をいただきながら書籍を読むことが出来ます


小樽旅亭 蔵群

北海道小樽市朝里川温泉2丁目685
TEL:0134-51-5151

in 15:00〜/out 〜11:00
1泊(2名)@36750円

小樽旅亭 蔵群 http://www.kuramure.com


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