枡一客殿 (長野・小布施)
長野は小布施にある宿。元々あった造り酒屋の蔵を利用し、リノベーションした宿で、内装はパークハイアットを手がけたジョン・モホード氏が手掛けた和洋折衷のスタイル。食事は宿ではださず、宿と同じ経営母体の造り酒屋が近隣で運営する和食の店か洋食のレストランで供す等、スタイルも斬新な宿。
宿編 食事編
枡一客殿(宿編)
いまや年間数百万人が訪れるほどにメジャーになった長野を代表する観光地である小布施。しかし、以前は過疎化が進み、観光客など殆ど訪れることのない寂れたエリアだったが、地場の栗菓子屋である小布施堂の社長が、米国人女性のセンスと手腕を活かし、一大観光地にまで復興させたというプロセスが有名な観光地です。
実際、訪れた際も関東のみならず、関西方面からも次々と観光バスが入れ替わりやってきて、ものすごい数の団体観光客がいました。
観光地として徹底的にコンセプトを守り、街全体の統一感を強く感じましたが、裏を返せば人工的というか、作られた感もなくはないのですが・・・。
まあ、しかし人ごみの苦手な自分にとっては、ちょっと町自体の雰囲気としては苦手な部分もあるのですが、町並みや雰囲気はとても良いものがあります。
前述の小布施堂や今回の宿である枡一客殿周辺に同一グループの施設を密集させ、そこが観光のメインエリアとなっているようで、非常にコンパクトな観光地とも言えると思います。
さて、そんな小布施にある今回の宿ですが、ネット等を含めても事前情報が非常に少ない!まずは、駐車場を探すのにかなり迷いました。かなり近くまで来ているのですが、宿の人に電話で細かい指示を受けようにも、先方の説明がやや要領を得ない・・・そんなこんなでかなり迷いつつ、なんとか駐車場をみつけました。ちなみに、宿の前は車進入禁止の広場(観光バスは進入可能)となっており、駐車場は宿から少し離れた有料駐車場に停めるようになっています。
枡一客殿の正面。この奥に蔵が点在しています。
入り口。この周辺には同じような作りの店舗や美術館(葛飾北斎とゆかりがあるようです)が点在しており、知らない観光客がこの宿も観光施設の一つだと勘違いして、入ろうとしている光景を何度も目にしました。
入り口を入るとすぐにロビー(といっても部屋数が12の小規模の宿なので、ロビー自体も非常にこじんまりしています)。
ロビーの天井は非常に高く、梁が非常に壮観な雰囲気を醸し出している。
家具等もオリジナルのようで、小布施堂の栗のマークが入っています。
非常に可愛らしいデザイン。
部屋は書斎タイプとリラックス型、リビング型の3タイプがあるようです。自分たちが利用したのはリラックス型。特徴としては、テラスがあることでしょう。
オットマンと組み合わせると寝ることも出来る備えつけの椅子。
電話や照明の釦等もきわめてシンプル。ジョン・モホードらしい洗練されたデザインです。
しかし、こうしたおもいっきり和のハードに対して、ジョン・モホードを起用するセンスには驚きです。
テレビ周り。
ちなみに珈琲カップはアラビアでした。
冷蔵庫には、コーラ、リンゴジュースにお茶、ミネラルウォーターが。
無料です。
テレビは50インチ。
ルームキー
ふたを開けると北斎の絵が。実は、この宿には部屋に名前が付いておらず、北斎の絵が部屋名の代わりを果たしています。
小布施堂が経営する店舗では、この鍵を見せると料金を全て部屋付けに出来るので、財布をもたずに観光に出かけられます。
お店等で、会計時におもむろにこの木箱を取り出して、ふたを開けて店員さんに見せるという、一種の優越感を演出する意図があるのでしょうか・・・しかしこの大きさを持ち歩くのは、ある意味財布以上に大変です。
部屋の調度品もさほど奇抜ではなく、かといって野暮ったくもない絶妙なデザイン。
お着きの菓子は、小布施堂オリジナルの栗菓子。自分は栗も和菓子も食べられないのでパスしましたが、かみさん曰く、かなり美味しいとのこと(実はかみさんも栗菓子が苦手なので、相当な美味しさということでしょう)。小布施堂に買い求めに行きましたが、なんでも限定品のため、販売はしていないとのことで・・・
宿泊者でない方は、近くの傘風楼(洋食のレストラン&喫茶店)で食べれるようです。
ちなみに、餡の部分は近くの山並みをイメージしているそうです。
部屋には北斎の画集が置いてあります。
灰皿も面白い意匠。部屋は禁煙のため、テラスで喫煙出来ます。
この部屋の特徴の一つである風呂周り。入り口はガラス張りです。
正面突き当たりが風呂、左手のステンのドアがパウダールーム
浴槽がなんとアクリル板で出来ています。周りもステンを多用しており、モダン。
シャワー
天井にはレインシャワーも付いています
浴槽はかなり大きいのですが、水量は半端ない位の量なので、お湯はすぐにたまります。
ちなみに、温泉ではありません。
お湯をはるとこんな感じに。水族館の見せ物状態。
風呂周りは兎に角クールの一言
タオルも一人2枚ずつあります
洗面所。こちらも風呂と同じ意匠のようです。
トイレ。
洗面所横には、広い化粧スペースがあります。アメニティも一通りそろっています。
浴衣やバスローブ、スリッパ、ハンドタオル等
テラスからは隣の建物(別の部屋)が見えます。
周りも全て蔵のため、視界は良くはありませんが風情があります。
テラスの別方向からは部屋まで歩いてきた通路が見渡せます。正面突き当たりがロビー。
右手は別の部屋が入った棟、左手はライブラリーです。
前述の通り、部屋の入り口には部屋名代わりの北斎の絵がついています。
部屋にはこの螺旋階段で上がります。
光の使い方がお見事。陰影礼賛・・・
蔵が点在する中に、各部屋とロビーを繋ぐ通路が通っています。
通路の脇には鯉のいる池があり、非常に味があります。
この建物から一歩でると観光客でごったがえす小布施の中心地とは思えない静けさと雰囲気です。
ライブラリー。北斎の画集から小布施や長野にゆかりのある人の本、ビジネス書、建築系の雑誌まで幅広くあります。
東御に拠点を構える、玉村豊男さんの本も多くありました。
池には鯉も泳いでいます。日本的演出のツールの一つとして役割を果たしています。
枡一のマーク。上手いデザインです。
しかし宿の目の前が観光バスの駐車場・・・出入りしづらい。
枡一客殿(長野・小布施)
長野県小布施町815
℡:026-247-1111
in 15:00~/out ~12:00
1泊(2名) @18375円~ ※朝食のみ